夢から覚めたムリガシラー
ムリガシラの1つ前のナクシャトラ、牡牛座ロヒーニーは、それはそれは何とも居心地の良い世界でした。まるでキリスト教のアダムとイブのように、人間はエデンの園で創造主の保護のもと平和に暮らしていました。
しかし禁断の果実を食べた瞬間理性に目覚め、人間は神の世界から追放されてしまいます。
牡牛座側のムリガシラーが禁断の果実に誘惑を覚える瞬間であるならば、双子座側は果実を食べ、エデンの園を立ち去った瞬間になります。牡牛座側にはまだ絶対的保護者への未練がありますが、理性が生まれた双子座側ムリガシラは神との決別を受け入れ、人間支配による理性的世界の始まりにワクワクしています。
親からの巣立ち
「絶対的存在との決別」はムリガシラーのテーマになります。特に創造主から繋がって父親的存在からの逃亡は、ムリガシラーを持つ人によく見られます。
アメリカ政府による大量監視システムの実態を暴露し、世界を震撼させたエドワード・スノーデンは、太陽・火星・ラーフを双子座側ムリガシラにお持ちです。彼はNSA(アメリカ国家安全保障局)・ CIA(中央情報局)の局員として働いていた時に政府への不信感を募らせ、機密情報を世界に公開することを決意。
圧倒的な情報力と権限を持つ組織を神だとすると、組織の元で働いていたスノーデンは神の保護下にいた人間となり、スノーデンの暴露は人間の神に対する反抗を意味します。見方によれば、恩を仇で返す人間の愚かさだとも言えます。
しかし絶対的存在への反抗・否定は人間の成長プロセスの一部です。子供は反抗期に親を否定する傾向にありますが、それはやがて親からの独立に繋がります。自分を確立するためには、自分が育った環境を離れる必要があるのです。そしてその最初の段階には、自分が超えるべき存在の否定が入ります。
通常成長して少し経つと過去自分がお世話になった人・場所への愛着が戻りますが、完全に過去を忘れて自分の道(人間の理性)を極める人もいます。それは度が過ぎると完全なる神の否定に繋がり、ムリガシラの次のナクシャトラ、アードラーで歪みが出ます。
*双子座さんが歩む一連の旅の流れは、『ふたご座/3ハウスの掘り下げ解説』にまとめています。
ダンテとムリガシラー
牡牛座側ムリガシラはエデンの園への未練があるため、牡牛座側ナクシャトラを持つ人は、ロヒニーの夢の世界への回帰を望む傾向にあります。
例えば、西洋文化に多大な影響を及ぼした叙事詩『神曲』を書いたダンテ・アリギエーリのアセンダントは牡牛座側にありました。『神曲』では主人公のダンテが煉獄、天国を旅し、最後に神の域に到達します。
一方の双子座側ムリガシラーはより科学的・現実的世界の探求を楽します。
このように同じナクシャトラでも星座が異なることで趣向がやや変わってきます。
人生の旅を追及するあなたには、インド占星術がおススメ。一度鑑定を受けてみましょう。