2025年に土星と海王星が魚座 Uttara Bhadrapadaナクシャトラでコンジャンクションします。
*この記事における星座は全てサイデリアル式です。
インド占星術では土星外惑星は使いませんが、世相占いには外惑星の使用が有効です。
アンドレ・バルボーによる土星-海王星合の解釈
2020年のパンデミックを数十年前から予測していた偉大な仏占星術家アンドレ・バルボーは、『プラネタリー・サイクル』にてこう記述します。
木星-土星合(コンジャンクション)が確実な実績をもたらすとすれば、木星-天王星合はMCのように権力と繁栄を象徴する。一方、ダークな土星-海王星合はICのように不幸と貧困を象徴する。飢えた狼が森から町に出てくるように、希望を持てず苛立った人々の集合的な欲求が表に出始める。つまり、土星-海王星合はイデオロジー/政治思想による反乱が多く起こる時期である。
(チャプター7:土星-海王星サイクルから。超意訳。)
*ちなみにMCとは西洋占星術でいうホロスコープの頂点、インド占星術でいう10室(昼間)にあたり、ICとはホロスコープで天体が一番沈む地点、インド占星術でいう4室(夜中)にあたります。
歴史的に土星-海王星合の時期に何が起こったかというと…(アンドレ・バルボー同書から)
1773年 | ボストン茶会事件→イギリスの植民地であるアメリカが統治国に対して反発。 |
1809年 | 南アメリカでも、統治国に対する反発が活発化。ヨーロッパでは、ナポレオンによりナショナリズムが進んでいく。 |
1846年 | マルクス主義の誕生。(正確には、1847年、カール・マルクスらによって共産主義者同盟という国際政党が設立される。『共産党宣言』が出版されたのは1848年。) |
1882年 | ヨーロッパにおける社会主義政党の誕生。 |
1917年 | ロシア革命。 |
1952-53年 | 1953年、ロシアの独裁者スターリンの死。アフリカ/アジアでは脱植民地化が進む。 |
1989年 | この時期、土星-木星オポジションも起こる。ベルリンの壁崩壊。東ヨーロッパで革命が起こる。 |
このように土星-海王星合は歴史的に見て、『(経済的/政治的な)既存体制への反発』『支配者への反発』がテーマとなります。
過去数年の流れから見た土星-海王星合の意味
過去数年を振り返ると、社会的惑星のコンジャンクションが続くという面白い現象が起こっています。
2020年: 土星-木星-冥王星合 | コロナ・パンデミックが起こる。政府体制が権威的/独裁的に進み始める。 |
2022年: 木星-海王星合 | ロシアのウクライナ侵攻。インフレ加速化。 |
2024年: 木星-天王星合 | ビットコイン10万ドル突破。世界的AIブーム。世界各地で相次いで選挙が行われた“選挙イヤー” |
2020年を起点に更に貧富の差が激しくなり、富める者が更に富む状況となっています。この流れを考慮すると、特に木星-海王星合によって加速したインフレによって相対的に生活が苦しくなった人たちが、2025年に起こる土星-海王星合によって反乱を起こすというのは十分考えられます。
ただし、過去のようにそれが共産主義に向かうかというと、そういうわけではないと思います。既存の経済体制・政治体制への反発であれば何でもアリなため、"見捨てられた人たちへの富の分散の約束"をしてくれる指導者・政党であれば、それが独裁的でも権威的でも良いと人々は考えるのかもしれません。
また、"脱植民地化"という観点から見ると、現在のグリーンランドを巡る論争は非常に興味深いです。
現在、グリーンランドはデンマーク領ですが、現地人の半数以上は独立を望んでいる。そして、2025/1/20に就任するトランプ大統領がグリーンランド購入に目をつけている。ということで、今後の展開から目が離せません。
Uttara Bhadrapadaでの土星-海王星合
Uttara Bhadrapadaナクシャトラを司る神様は深海で眠るドラゴンで、表に出てくることは滅多にありません。かつ、このドラゴンは人目につかない財宝を隠し持っているとされ、非常に秘密主義的であります。
そんなナクシャトラの位置で土星-海王星合となると、人々の反発の仕方が抗議活動などの正面突破的な明らかな形ではなく、誰が仕掛けたかわからないテロや暗殺、サイバー攻撃という形で行われる可能性が高まります。
そして、富の再分配という名を掲げながらも、その活動を駆り立てる裏の主犯者が一方で自分に富を集中させているといった矛盾もあります。
つまるところ、テロや凶悪事件といった出来事が悪目立ちするだけで、人々が求める根本的な問題解決になる時期ではないと思います。
この土星-海王星合は2025年のみならず、2026年~2027年前半まで続きます。
世相占いを学ために、まずは基礎知識を身につけよう!『インド占星術 初心者向けコース』を公開中。まずは無料プレビューをチェック。
インド占星術特有のナクシャトラを学びたい方はこちらから。