ムーラは最恐にして最強
ムーラは射手座内に位置するナクシャトラであるものの、射手座のお気楽で自由なイメージとはかけ離れています。テーマが『破壊する』となり、危険人物の雰囲気を漂わせていますが、このナクシャトラの実態は如何に!?
ディープなムーラの世界を一緒に探求していきましょう。
ブラックホールに最も近い場所にいる
私たちが住む天の川銀河系。銀河系の全ての始まりとなる中心には、ブラックホールが存在すると言われていますが、2020年ノーベル物理学賞で正式に、ブラックホール理論の功績が認められました。
そして、そのブラックホールの名前は、なんと、
『いて座aスター』(Sagittarius A star)
なぜ射手座なのかというと、地球から見て、射手座の方角にブラックホールが存在するからだそうで。
そしてより具体的に言うと、射手座3度の方角に、ブラックホールが存在するとのこと。まさにムーラの位置。
『ムーラ』はサンスクリット語で、「中心」という意味を持つので、ずばり、ブラックホールのことを示していたのです。(恐るべし古代人の知恵・知識。)
ブラックホールのイメージがそのまま、ムーラに当てはまるため、『容赦ないデストロイヤー(破壊者)』として、ナクシャトラ界のダースベイダーとして君臨しています。
悟りへの道か、原理主義への傾倒か
ムーラ・ナクシャトラの支配星はケートゥですが、一応射手座の度数内にいるため、射手座支配星木星の影響も受けていると考え、ムーラはケートゥと木星の組合せだと考えることができます。
射手座は、主義・主張、宗教を大事にする星座であるため、その射手座支配星木星も宗教家、崇高なグルとしてインド占星術では讃えられています。
一方のケートゥは、頭をもぎ取られたヘビとして、過去への回帰を望んでおり、かつこの世からの解脱、苦しみからの解放を望んでいます。そして、徹底的に、シンプルな真理に近づきたいと思っています。
スピリチュアル精神が自然と身についたケートゥが宗教家の木星と一緒になると、更に真理への心酔が強まります。
世俗世界から距離を置くことは悟りへの一歩となりうる一方で、一歩間違えると原理主義に走る可能性もあります。
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2020年コロナ・パンデミックが起こる直前の日食は、射手座ムーラで起こりました。
太陽、月がムーラにいるだけではなく、水星、木星もムーラに位置し、9つの惑星のうち4つがムーラにいるという、奇妙な事件が天体で発生していたのです。結果、地球上でパンデミックが起こりました。
多くの混乱が訪れ、今までのやり方や価値観に多くの疑問が投げかけられる事態になりました。
物事はいつか回復に向かいます。しかし回復が起きても、それは元通りの状態ではなく、変化が加えられた新たな時代となります。それが、ムーラが成し得る技です。
そういった意味で、破壊者ムーラは最恐にして最強なナクシャトラと言えるのです。