6室ラーフとファイティング・スピリット
ヘンリー王子の王室離脱の経緯
英国王室出身のヘンリー王子がプロデュース・出演した、メンタルヘルスを取り上げる番組『あなたに見えない、私のこと』(現時点では、Apple TVにて視聴可能)を観て、ヘンリー王子が英国王室から離脱するまでの一連の経緯が非常に興味深かったため、今回は、ヘンリー王子のチャートを使って、ヘンリー王子の主張を考えていきます。
【ヘンリー王子基本情報】
生年月日:1984年9月15日 16:20生まれ
出身地:イギリス・パディントン
2018年にメーガン妃と結婚したものの、2020年突如となく、Instagramにて、夫婦の英国王室脱退を表明し、ゴシップのネタとして注目の的となったヘンリー王子。王室内での建設的な話し合いがされていなかったようで、ヘンリー王子夫妻の行動は傲慢だと世間から批判を浴びました。
結果的に、ヘンリー王子夫妻はイギリス王室を脱退。称号も返還し、2人はまだ小さい息子と共に、アメリカへ移住。王室からの金銭的支援、セキュリティー支援が途絶えたため、ヘンリー王子はお金を稼ぐ必要もあり、積極的にメディアに登場するも、これまた世間から賛否両論の嵐となりました。
ラーフ・ダシャーでの大きな変化
インド占星術のダシャーを確認すると、メーガン妃との出会いから現在までの一連の流れは、ラーフ期に起こった出来事でした。
ヘンリー王子のラーフ期は、2007年4月から2025年3月まで。18年間と長いですが、メーガン妃と結婚したのが、ちょうどダシャー折り返し地点のラーフ・ケートゥ期。そこから彼の時代の流れが変わったと言えます。
ラーフはインドの神話に出てくる、不死身になったヘビの片割れ。
ヘビの尻尾部分であるケートゥがこの世の解脱を望む一方、ヘビの頭部分のラーフは、この世の全てを手に入れたいのです。
ヘンリー王子のラーフさんは6室にいるので、6室に関することで、貪欲になります。
6室は、人に尽くすハウス。そして、人と争うハウスであります。
「尽くす」と「争う」は相反するものに聞こえますが、誰かを守るためには、時には争ったり、戦ったりする必要が出てきます。
尽くすことは自己犠牲でもあります。そのため、6室は、犠牲や責任が伴うお仕事のハウスや、自分のスキルを提供する技術のハウスとも言われています。
水星や月など、優しい惑星が6室にいる場合、自分が犠牲になってしまうケースが多いですが、土星や火星、ラーフ等、自己主張が強い惑星が在位する場合、自分の本来持つ強さを効果的に発揮でき、例え争いが多くても、最終的には自分の思い通りの方向に事を進められるというケースが多いです。
そんなわけで、6室在位のラーフ期を過ごすヘンリー王子は、とにかく大事な人・物を守りたいのです。そして、そのために戦いたいのです。
ヘンリーの6室ラーフは牡牛座相手に戦う
番組『あなたに見えない、私のこと』で、ヘンリー王子は、メーガンと出会った2016年からカウンセリングに通い始め、自分の子供時代のトラウマが、大人になった今でも自分のメンタルヘルスに影響を及ぼしていると理解した、と語っています。
ラーフがいる6室に位置する12星座は、牡牛座。牡牛座は、子供が安心して成長するために必要な環境を与えてくれる星座であるため、子供時代や自分が育った周りの環境・家庭、強いては、自分の代まで受け継がれた家系を象徴します。
ヘンリー王子が、「自分は家族や王族のシステムに囚われていて、メーガンと出会うまでは逃げる術がないと思っていた」「父も兄も同じように囚われている」と発言するのは、ラーフの矛先がまさに、牡牛座の自分の子供時代・家族に向いているからだと思われます。
矛先向けられたチャールズ皇太子やウィリアム王子は、「いや、自分たちはそんな風に思っていないよ」と反論し、庶民からは「なんて酷い事を言うんだ」と批判を浴びてしまいますが、これは周りには理解してもらえないラーフさんの性質上仕方ないことではあります。
でも、ヘンリー王子の主張は、間違っているのでしょうか?
生まれた時から四六時中メディアの目に晒され、王室に生まれたからと自由な感情表現は許されず、父は公然と浮気をし続け、母はパパラッチに追いかけられた最中交通事故で死亡したのに、家族のみんな、平然と今まで通りの生活を続けようとしている。どうして、みんな、平気でいられるの!?
というヘンリー王子の主張はしごく、真っ当なはずです。庶民の目からしても、英国王室の歴代人物を辿れば、機能不全家族の集まりに見えます。
そんな家族の負の連鎖を断ち切るために、ヘンリー王子は戦いたいのです。
こういった一連の流れを見ると、ヘンリー王子はある意味、あえて、物議を醸し出すために、イギリス王室の伝統から完全に離れたメーガンを結婚相手に選び、イギリスを飛び出したのではないかと思います。
ヘンリー王子は、自分と同じ境遇にあった父親と兄に目を覚まして欲しいと思っていますが、それは無理なことです。
特に兄のウィリアム王子のチャートを見ると、彼は自分の置かれた境遇の中で、ただただ皆のために責任を全うするために生まれてきた人なので、ヘンリー王子と向いている方向が全く違います。ある意味、ヘンリー王子は庶民的価値観の持ち主で、ウィリアム王子が非常に特異な人物です。
今はまだラーフ期なので、ヘンリー王子は家族の意識を変えたいと躍起になっていますが、そのうち家族に対する負の気持ちも落ち着いて、同じ家族といえども、違う価値観を持った人物であるから、他人を変えることはできない、自分は自分の道を生きるしかないと悟るでしょう。
そして貪欲なラーフも足るを知り、新たなスピリチュアル・ジャーニーを生きる木星の時代に入っていくのです。
ヘンリー王子を通して、更にインド占星術を理解したい方は
筆者が出版したKindle本『邪道 インド占星術』にて、ヘンリー王子の例を取り上げ、インド占星術を解説しています。6室やラーフについても更に考察しているので、ぜひお手に取ってみてください。