太陽は魂・エネルギー
『自己肯定感』という言葉を最近よく聞くようになりました。ちょうど2020年コロナの時期から流行り出した言葉でしょうか。インド占星術を実践する者としては、今の時代にこの言葉が流行るのは非常に面白いと感じています。
インド占星術で圧倒的な自己肯定を表す惑星は間違いなく太陽です。太陽よりも月がインド占星術で重視されようとも、太陽が唯一自ら輝く星であり、エネルギーの源・魂であることには変わりありません。
太陽は宇宙の中での自分の存在を理解しており、「今この瞬間」を生きて毎日一定の輝きを保っています。ごく自然に自分自身を受け入れているので、「自己肯定感が高い・低い」なんて考えません。でもその自然な振る舞いが周りからは羨ましがられます。
インド神話から分かる太陽の特徴
太陽にまつわるインド神話で面白い点は2つ。1つ目は太陽は周囲に対しての関心が薄い点。2つ目は必要であれば自分を変えることができる点です。
神話の中で太陽はある日、とある理由で奥さんに家出されてしまいます。奥さんは自分の子供たちの面倒を見てくれる存在として、自分の影の分身(偽物)を家に置いていきます。偽物の奥さんに太陽はすぐに気づいた・・・とはならず、そのまま一緒に暮らし続け新たな子供までもうけます。鈍感な父親に対して異変に気付いたのは最初に生まれた子供たち。「あれは自分たちの本当の母親じゃない!」と父親に訴え、ようやく太陽も偽物に問いただし真実を知ります。太陽は奥さんを探す旅に出かけ、ついに見つけます。そして、奥さんが家出をしたのは、自分の熱量に耐えられなかった(太陽に近付きすぎると丸焦げになってしまう)からだと知り、熱を少し抑えるために自分の外側をある職人に頼んで切り落としてもらいました。その跡が今でも光の点丸として残っている、という逸話です。
この話から分かるように、太陽はやはり他人への配慮が足りません。しかし根は純真なのでちゃんと伝えてもらえば周りを理解することができ、他者のために自分を変えることもできます。ある意味立派な自己犠牲ですが、太陽は自分の意思でそうしているだけなので、犠牲とも思っていません。あるがままの自分を受け入れる/肯定するのみです。
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太陽が廃れた現代?
『自己肯定感』の流行りが面白いと思った理由は、今の時代は太陽はあまり人気がなく、ラーフが持てはやされているはずだからです。
ラーフは現実には存在しない惑星ですが、人類の発展に貢献してきました。ITテクノロジーや宇宙事業、パンデミックはラーフとの関わりが強いです。(ケートゥにも関連しますが、ケートゥはラーフの片割れでおまけのようなものです。)ビットコインでサクッとお金儲けしたいというのもラーフ的です。
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一方の太陽は昔々から中心的存在であったため、ある意味新鮮味がなく、その凄さも当たり前になっています。
しかしラーフ的世の中で、太陽的価値観が話題になるということは、多くの人が劣等感を感じている証拠です。ラーフは、自分自身を大きく見せる一方、実は自分に自信がありません。ラーフは日食・月食を引き起こす点として、太陽に代わってこの宇宙を乗っ取ろうと必死に頑張りますが、それは太陽に対する妬みや劣等感を示しています。自分の中に空虚を見出すラーフは自然体の太陽に勝つことはできません。
インド占星術のチャートの中でラーフが位置するハウスは自分が今世で追い求める分野だとされます。もちろん自分の欲求を満たすことも重要ですが、その前に今の自分自身を受け入れる必要があります。太陽がどのハウス・星座に位置しているのかを確認して、自分自身がどのエリアにいるのかを理解し、あるがままを受け入れてみましょう。
自分の太陽を活かして、自己肯定感を身に着けたい方は、インド占星術鑑定を受けてみましょう。