最後の審判を下すレヴァティー
魚座は最後の星座として、善悪関係なくありとあらゆるものを全て受け止め、全てに終わりを告げる役目を担います。
そしてナクシャトラの最後を飾るレヴァティーはこの魚座の特徴を体現します。
人間の一生で言うと、生身の死はウッタラ・バドラパダで迎えたため、レヴァティーは死後の世界を表します。
そこでは最後の審判が下されますが、キリスト教のような天国に行くか地獄に行くかの審判ではなく、「また生まれ変わるか、否か」になります。
そしてこの判断には本人の意志も尊重されるため、自分自身が審判の作業に加わることになります。つまり、レヴァティーは審判を下される側でもあり、下す側にもなるのです。
映画で見るレヴァティー
境界線を越え全てを受け入れるレヴァティーの存在は、現実世界では慈悲にもなり、恐怖にもなり得ます。
ジョーカー
バットマン映画『ダーク・ナイト』で悪役ジョーカーを演じたヒース・レジャーのアセンダントと太陽はレヴァティーにあり、『ジョーカー』でジョーカー役を演じたホアキン・フェニックスの月はレヴァティーにあります。
どちらのジョーカーも人々を窮地に追い込んで、究極の選択を迫り、人々の潜在意識・本性を炙り出そうとします。善悪の境界線を取り払って全てを融合しようとすることで、周りを試します。
特に、『ダーク・ナイト』のジョーカーは、正義の味方であり続けようとする牡羊座アシュヴィニーのバットマンを追い詰めました。
(ジョーカーはレヴァティーだけではなく、アードラー・ナクシャトラも重要な要素となります。)
ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンド
しかしそれと同時にレヴァティーは周りからも試されます。
『007』シリーズで初の金髪ジェームズ・ボンド役を演じたダニエル・クレイグの火星・土星・ラーフはレヴァティーにあります。
クレイグが演じたボンドは正当なヒーロー像とは異なり、精神的に危なっかしく衝動的な行動も取るため、一歩間違えれば悪の道に染まってしまいそうです。
そして、悪役たちから次々に自分の愛する人たちの死を突きつけられ、それでも正気を保てるのか?それでも善の立場でいられるのか?と限界を試されます。
限界・境界線がレヴァティーの鍵になるのは、ナクシャトラ支配星が水星であり、水星ナクシャトラは必ず世界の境界線ガンダンタの位置にいるからです。(他2つはアシュレーシャーとジェスタ。)
この世を完全におさらばする境地に立って、自分一人で立ち去るか、誰かを道連れにするかの判断に迫られます。
一般的なレヴァティー
とは言っても、実際レヴァティーを持つ人たちはここまで極端な行動に出たり、極端な場面に遭遇することは多分稀でしょう。
一般的にレヴァティーを持つ人で見られる特徴としては、やはり支配星が水星なので、頭の回転が早く、面白い話をする人が多いです。
司会業もこなす俳優、大泉洋の太陽・月・金星はレヴァティーにあります。
彼のひょうきんさは水を得た魚のようで、レヴァティーの楽しい面をよく表しています。魚座の支配星は木星で、レヴァティーは水星と木星の組合せになり、柔軟性と知性を兼ね備えることになります。そのため、素質があれば最後のナクシャトラとしてトップの座に立ち、皆を導くことも十分可能になります。
1 件のレスポンスがあります
[…] 長々と、蠍座アヌラーダー的世界を体現するヒューとハンニバルを追ってきたわけですが、最後だけ、アヌラーダーよりむしろ魚座レーヴァティーの特徴かな、と思われるものを、またヒューのインタビューから拾ってみます。「実際、シーズン4の計画がありました。そうなるためには僕たちはなんらかの形で生き残らなければなりません。それはハンニバルの奇跡的なスキルの新たな一つになるのでしょうが。(中略)でも、そう。僕は……ウィルはハンニバルを滅ぼす唯一の方法は自分自身を滅ぼすことかも知れないと気付いているのだと思います。そしてその瞬間、彼の一部、いつも自分の中の闇と戦っている部分は「それがハンニバルを殺す唯一の方法というだけではなく、僕もいくべきなんだ。僕は、本当は僕たち二人を終わらせなければならない」とも考えている。だから、彼はそうしたんです」(和訳引用元:Nori@Will_Lecter2013 前掲Twitter)「ウィルは、自分が死ぬこともあると思っていた」とオーディオコメンタリーでもヒューは語っていました。例えば、ハンニバルにとっては、ウィルとともに生きることや、美しいものを楽しむことが好きなので「愛のために死ぬ」ことを望むとは思えません。そもそも、「死ぬ」と言う概念自体が彼にとってはあまり意味がないものかも知れないし。『ハンニバル』の中で、ハンニバルが様々な窮地にあっても、自分の死を恐れたシーンはひとつもありませんでした。マッツによると「ハンニバルは全てを楽しんでいる」からでしょう。恐らく、死すらも楽しむはずです。そもそも人間の思うような「死」の概念が彼にあるかどうかは謎で、例えば高僧や篤信的なキリスト者のように「この姿からの解放」と「死」を捉えているだけかも知れません。では、ウィルはどうかと言うと、彼はハンニバルよりは人間味がありますが、ハンニバル化が進むにつれて、先ほど見たような自分が死ぬかも知れないことを予測し、それを受け入れるような境地になって行きます。「ハンニバルとともに生きられず彼なしでも生きられぬ」だから、ともに死ぬとしても、そうある姿に進んでいく。境界線を超えて、全てを受け入れるーーーこれは魚座レヴァティーの示すところです。「窮地に追い込んで、究極の選択を迫り、人々の潜在意識・本性を炙り出そうとします。善悪の境界線を取り払って全てを融合しようとすることで、周りを試します。」(インド占星術 はやたともみ「レヴァティー・ナクシャトラの独自解説」参照)・・・これはむしろハンニバルのことを語っているようですが、(マッツの出生図D1の魚座に惑星はいません)だからこそ、S3のウィルの最終的な選択にも結びついていくものです。ドラゴン退治の後に、目の前に広がる血まみれの世界をウィルは「美しい」と感じる、同時に、それゆえ自分たちをこの世界においてはおけない、と思う。自分たちが美しいと感じるものをこの世界が同じように感じはしないことを知っているウィルは、ともに生き、更に強く深く結びつき合える別の世界に向けてハンニバルを固く抱き寄せジャンプした……そういうことだったのかな、と。 […]