欲望渦巻くシャタビシャ
シャタビシャが位置する水瓶座のシンボルは、名前の通り水瓶ですが、これはあらゆる神話で見た場合、神聖な盃であります。
インド神話では、この盃に不老不死のお酒(薬)をついで、神々が好んで飲んだとされます。
不老不死のお酒はとても魅力的なので、神々だけではなく、魔族も欲しがります。特に、頭が良い蛇は、このお酒を盗み飲みしたため、怒った大神様に2つに八つ裂きにされ、不死身の頭ラーフと尻尾ケートゥになったという経緯があります。
このように、水瓶は、ありとあらゆる全てのものを引きつけてしまいます。そして、シャタビシャは、「100人の医者」「100個の薬」という意味を持ちます。個々にあう処方箋をするということでしょうか。
シャタビシャは人々だけではなく神様たちの欲望も掻き立て、ミイラ取りがミイラになるように、自分もその欲望に溺れてしまう可能性もあります。
土星とラーフの組合せの意味
水瓶座の持ち主は土星。シャタビシャ・ナクシャトラの持ち主はラーフ。土星とラーフが一緒になる、摩訶不思議な組み合わせです。
ラーフは、全てを手に入れたい欲の塊なので、どんな手を使ってでも、ぶっちぎりで自分が一番になりたいのです。限りなく、自分の境域を広げたいと思っています。なので、過去やルールに縛られたくありません。そのため、改革主義者であり、素晴らしい発明家にもなり得るのです。
一方の土星は、とにかく熟考型です。惑星の中で一番動きが遅い土星は、ラーフと違って、社会の規律や伝統を重んじます。周りからは堅物とされ、屈辱を受けることも多々ありますが、年をとるにつれて、土星の真面目さが結果に現れ、最終的にトップの座に上り詰めることもあります。そして、土星は密かに名声への強い渇望を常に持っています。
この2つの性格が違う、しかし名声欲は一致する惑星が一緒になった時、シャタビシャのようなナクシャトラが生まれます。
所詮実在しないラーフは少し妥協して、土星の性質を自分に取り入れます。自分は、世の中のために役立ちたいんだ!と急に目覚めます。そして、自分が手に入れたものを、社会に還元しようとするのです。
無限の彼方へさあ行くぞ
しかし、結局はラーフはラーフであり、自分のやり方で物事を進めたいという思いからは逃れられません。社会の調和を唱えながらも、個人主義者でいたいのです。
既存の体制を壊しながらも、新たな体制を築き上げてしまいます。世の中の問題を見つけたら、土星的な緻密な作業やロジックを踏襲しながらも、最終的には革新的な方法で、徹底的に解決したいのです。
側から見れば矛盾だらけではありますが、どの思いも、シャタビシャの性質です。そのため、シャタビシャな人たちは、問題解決をするコンサルタントや、医療関係、科学者など、人々に向けた仕事だけれども、自分の時間も確保できる環境が向いています。
例えば、あの偉大なレオナルド・ダ・ヴィンチは木星をこのナクシャトラにお持ちでした。彼は世紀の天才ですが、生存中は与えられた仕事を最後まで完成できないことで有名で、とにかくマイペースだったようです。
シャタビシャの精神負担
偉大なことを成し遂げる可能性に満ちたシャタビシャですが、執着するラーフと陰気な土星が一緒になる時、精神的負担がかかることもあるので注意が必要です。自分自身の殻に閉じこもったり、お酒や薬の依存症になったり、鬱になってしまうなど、コントロールが効かなくなる時がないよう、日々体調管理はしておいたほうがいいかもしれません。